数年前にリモートワークが始まったが、僕の所属している企業でも段階的にリモートワークが廃止されていく雰囲気である。
リモートワークについての感想を書いている記事があったので、自分もまとめておこうと思った。
数年後には、当時は良かったとか、色々美化されると思う。自分も記憶を改竄することだろう。過去は美化されがちなので。
実際に起こったことも忘れるが、当時の感情も忘れがちなので、事実を感情などを交えつつ備忘録を残しておこうと思う。
僕は、IT企業で働くエンジニアで、メンバーを経験してマネージャーもやって転職もしている。それぞれの立場から見えるものも変わる部分もあるのでそこも記載してこうと思う。
リモートワークの社会的変遷
まずは、Covid-19が流行した後のリモートワークの状況についてChatGptに教えてもらいました。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行に伴い、日本ではリモートワーク(テレワーク)が急速に普及しました。2020年4月の緊急事態宣言時には、多くの企業が出勤者数の削減を求められ、リモートワークの導入が進みました。労働者にとっては、通勤時間の削減やストレスの軽減、業務効率の向上などのメリットが報告されています。
しかし、リモートワークには課題も存在します。社内でのコミュニケーション不足や、勤務時間とプライベートの区別がつきにくいといったデメリットが指摘されています。また、労働時間が減少する人が多い一方で、増加する人もおり、二極化の傾向が見られます。
2023年5月8日に新型コロナウイルス感染症が5類に移行した後、企業の働き方にも変化が生じました。リモートワークと出社を組み合わせたハイブリッド勤務が一般的となり、出社頻度が週5日以上の労働者が6割以上を占めるようになりました。これは、2022年の同時期と比較して、平均で週に約1日出社日数が増加したことを示しています。
さらに、リモートワークの頻度にも変化が見られます。2024年の調査では、「フルリモート」が2.9%、「週4日」が7.4%、「週3日」が18.8%、「週2日」が34.4%、「週1日」が36.5%となっており、2023年と比較すると、「フルリモート」や「週4日以上」の割合が減少し、「週1日」の割合が増加しています。これは、他者との接触を最小限にする働き方から、ハイブリッド型の勤務形態へとシフトしていることを示唆しています。
このように、COVID-19の影響により、日本の労働者の働き方は大きく変化しました。リモートワークの導入により、柔軟な働き方が可能となった一方で、コミュニケーションの課題や労働時間の管理など、新たな課題も浮上しています。今後は、これらの課題に対応しつつ、労働者がより効率的かつ健康的に働ける環境の整備が求められます。
リモートワークの実施状況とは以下のようです。
年度 テレワーク導入企業の割合 テレワーク実施者の割合
2017年 13.9% -
2018年 19.1% -
2019年 20.2% -
2020年 50.3% 28.5%
2021年 57.0% 22.7%
2022年 56.6% 20.2%
2023年 50.0% 19.3%
だいたい実感とも合っているので、まあ正しそうです。
リモートワークのメリット
リモートワークでは通勤がないとか作業に集中できるとか色々メリットがあげられますが、個人的には以下だと感じます。
家族とすごす時間が増える
リモートワークが当たり前になる以前は、世間一般には遅めに出社して終電まで働くような生活でした。夜は家にいないのが当たり前です。
リモートワークが突然増やされることで、子供を保育園に送っていくだけでなく、お迎えも行けるようになりましたし、夕食も一緒に食べるようになりました。
僕のように家にいないのが当たり前な生活をしていた人たちでも嫌々働いていた人はいたと思います。ただ、僕や僕の周りは好きでそうしていた人が多かったと思います。働きたいから働いていたわけです。
深夜にする雑談とか楽しかったですし。
そんな僕が子供と夕飯を食べたり、一緒にお風呂に入ったり。もちろん週末は遊ぶしお風呂にも入れていましたが、過ごす時間の濃さが段違いであったと思います。
会社には何の関係もないし利益にも結びつかないですが、子供がまだ小さい家庭では、給料が多少増えてもリモートワークが出来ない会社に転職することは、あまりないのではないかなと思います。
また、個人的には体験していませんが、故郷(外国含む)に帰って仕事をすることもできるのは大きなメリットだなと感じます。他のチームの人だったりすると、プライベートなことを話す時間的な余裕がなかったりしますが、そうすると帰国していることに気がつかなくて、しばらく経ってから知るようなこともありました。それくらい働く場所を意識しなかったです。
作業に集中しやすい環境を整えやすい
デスクやモニターも自分で選べますし、音楽をかけたりとか色々出来ますし、自分のお気に入りの空間を作ることができます。
スペースが許せば会社のデスクよりも広い机で作業している人もいると思います。
また、服装もリラックスできる格好ができますし、靴も履かなくていいので足が臭くなることも無くなりました。これは個人的には地味に嬉しいです。自分のもですが、他の人の匂いを感じないというのは、地味にストレスが減った気がしています。
作業者としては自分の蔵書にすぐにアクセスできるというのもメリットの一つと感じました。
会社で働いている時には、家にある本に書いてることを見ながら作業したいとか、ちょっと確認したいとかがあっても無理でした。
家にいれば、当たり前ですが、それらにすぐにアクセスできますし、プライベートで利用しているパソコンから電子化された書籍にアクセスすることも容易でした。
今は、ChatGptがいますから、蔵書へのアクセスは必ずしも必要ない気もしているので、メリットとしては薄れたかもしれません。
遠方の人が採用できる(遠方の引っ越せる)
よく言われるメリットですが、僕のチームや部署では実際に遠方の方を採用したり、遠方に引っ越した方がいます。
遠方であるということは、デメリットではあります。気軽に集まれませんからね。
ジュニアレベルの人で遠方に住んでいる人をわざわざ採用するかというとそうでもないのではないかと思います。
実際に遠方に住んでいるから不採用になったという人はいなかったんじゃないかとは思います。
ただ、遠方に住んでいるけどぜひ採用したい人をコストをかけて採用プロセスに乗せるようになった結果として、遠方に住んでいる人たちの能力は、総じて高いと感じます。完全に個人の感想ですが。
その他のメリット
オフィスを持たないことによるコストの削減などもあるとは思います。ただ会社組織としてのメリットというのはそれほどないのかもしれないです。リモートになって利益率が上がったってニュース見ませんしね。
転職のし易さ、リモートワークが転職する時には有利に働く部分はあるとは思います。実際にオフィスに行かずに面接をして採用というのが大半でしたから。
ただ、個人的にそれほど大きなメリットには感じていません。
オフィスに面接に行かなくてもいいとか隙間時間に面接ができるとかメリットはあるかもしれませんが、それって面接の数を多くこなせるとか転職までの期間を短くできるなどが得られる利益だと思います。ただ、そんなに素早く沢山面接して、できるだけ早く転職することにあまり意味はないと感じます。
数ヶ月から1年とか2年かけて転職活動してでも、きちんと条件などが自分に合うところを見つける方が重要なので、転職のしやすさというのは個人的にはあまり意味のあるメリットではないと感じます。
リモートワークのデメリット
デメリットにつてもあげていきます。
コミュニケーションの難易度が対面よりも高い
リモートワークになってから、今も感じることですが、コミュニケーションは難しくなりました。
コミュニケーションといっても、日常会話とか仲良くするとかそういうことじゃないです。
業務におけるコミュニケーションは、認識のずれの修正や相互の合意形成です。
対面であれば、ホワイトボードを使ってすぐに伝えられることがリモートワークだと伝わらなかったりします。
自分が図を書くのが得意で、対面であれば、相手にも加筆を頼んで相互に認識のずれを修正していけますが、リモートワークだと書き手は一方的になりがちで、共同編集は非常に難易度が高いです。ずれが実際に修正されたのかの確認は対面よりも手間がかかる印象です。
また、コミュニケーションが苦手な人同士で会話していてもZOOMなどで話をされると周りは全く気がつきません。オフィスであれば、揉めてそうな気配に気がついた人が間に入ったりも出来ますが、それがないため、一度揉めると揉め事の深刻度が増す傾向があると感じます。
運動不足が深刻になる
運動しろよ。って話なんですが、あきらかに太った人が増えました。
社会的に健康寿命は減ったと思います。
この数年で足腰が弱り、介護を必要とする年齢が下がるのではないかと思います。
すぐには影響を感じませんが、数年後に影響が顕在化しないかと憂慮しています。
世の中で話題になる点:生産性とイノベーション
生産性
生産性については、そもそも計測の仕方が難しいと思います。
エンジニアの目線だと、コードが書きやすい環境の方が生産性が高いと主張したくもなりますが、コードを沢山書いたからといって、売り上げが上がる訳じゃないですからね。
重要なのは売り上げや利益の増加であり、エンジニア的生産性がいくら向上したところで、会社としての生産性とは、相関も因果もないと思います。
管理職目線だと、リモートワークだとサボっている人がわからないという意見を目にしたこともありますが、管理職の人は誰がサボっているかなんとなくわかると思いますし、オフィスにいたからといって、尻を叩けばみんな働くかというとそうでもないと思います。
リモートワークでもオフィスでも、大事なのは自走できる人を採用することであり、細かく指示をしないと業務が滞る人は、リモートワークでもオフィスでも業務が滞ると思います。
作業者はリモートワークの方が生産性が高いと言いがちで、管理者はオフィスの方が生産性が高いと言いがちだと思います(印象)。
個人的には、上記のことから、どっちもどっちで、リモートでもオフィスでも日本の企業の生産性は海外と比べて低いので、視点を変えて教育に力を入れるとか、人を入れ替えて知識の共有を進めるとか、他の打手を考えた方がいいんじゃないかなと思ったりはします。
イノベーション
イノベーションについても同様にリモートワークかオフィス勤務かは関係がないと感じます。
対面の方がイノベーションが起こりやすいという意見が見られましたが、そもそも昔からほとんどの企業がイノベーション起こせてなくねぇか?というのが個人的に感じるところです。
そもそものイノベーションの数自体が少ないと思うので、オフィスにいようがリモートワークしようが、イノベーションはほとんど起こりません。それが現実だと思います。
アメリカ企業では、イノベーションが日本よりも起きていたと思うので、彼らのオフィス回帰の主張には共感するところがありますが、日本はもともとイノベーション起こせてないからな。と思ってしまいます。
リモートかオフィスかではなく、こちらも他の打手を考えるべき課題だと思います。
オフィスに戻ったら、イノベーションが起こるのでは?とか売上が上がるのでは?と経営者が安直に考えているとたら、そうはならないと思うので、解決すべき課題が隠蔽されそうで不安にはなります。
今後について
オフィス勤務環境の悪化
もともと日本のオフィス環境は、アメリカの大手ITよりは悪いものでした。
単純に土地の問題があると思いますが、オフィス設計という意味で、社員が会社にいたくなるような設計思想みたいなものは強くないと感じます。
リモートワークになって、オフィスがなくなり、コストがある程度は削減できたと思います。
オフィスに回帰した時に、わざわざ大きなコストをかけて出社が楽しくなる仕組みを用意する企業がどれほどいるのかは疑問です。
また、一人の空間になれた人たちが、オフィスに集まったときに、匂いや音の問題で揉めはしないかと心配しています。
固定席があれば、人間関係ができることで許容できることもあると思いますが、フリーアドレス制だと、人間関係が構築されない状態で、受け入れ難い勤務スタイルの人と隣り合うわけで、揉め事が増えなくてもストレスは増えそうです。
10年後はわかりませんが、数年はオフィス環境は悪化した状態が続くのではないかと思います。そうならないように祈るばかりです。
今の気持ち
内容を読むと、リモートワークにメリットが多く、オフィス勤務には意味がないと考えている人の文章みたいだなと感じましたが、個人的にはオフィス勤務の方が好きです。
確かに、リモートワークは多くの恩恵を僕の人生にもたらしたと感じます。
子供と過ごす時間は他に変え難く、子供の年齢が低いうちに多くの時間を過ごせたことは、僕の人生には明らかなプラスでした。
しかし、オフィス勤務でも良いことはあったなと思い返したりもします。
通勤は散歩みたいなものでいい気分転換になります。東京は街路樹が多く四季の空気を感じて、朝時間に余裕がある時や夜に東京を1駅分くらい歩くのは、ちょっとした楽しみでもありました。
オフィスでは色々な人と会話しながら、ものづくりを進めていくのは楽しいものです。
メンバーやプロジェクトがカチッとハマって、どんどんプロダクトが気持ちよく作られていく体験は、やはりリモートワークでは実現が不可能であると感じます。
緊密なコミュニケーションと成果物のこまめな共有が、成果が形になっていくことを実感させてくれますし、それらを一緒に作っている仲間の存在を意識できるのは、オフィスに集まって働く楽しさだと思います。(オフィス勤務は、こういう楽しさを作るための必要条件であり、十分条件ではありませんが。。。)
ただ、会社としての課題は売り上げを伸ばすことだと思うのですが、その改善には寄与しないのではないかと予想しています。
日本経済が右肩下がりなこともあり、オフィスに集まったけど売上は上がらずリストラが始まる。というような未来はあり得るものだと思います。
そうならないようにリモートかオフィスかに関係なく、売上を上げていきたいものです。